弁護士法人一新総合法律事務所 東京事務所 理事 兼 東京事務所所長 弁護士 大橋 良二先生に、OLGA の導入背景や目的をお伺いしました。
貴所の業務内容や特長・得意分野についてお教えください。
弁護士法人一新総合法律事務所は、新潟県を拠点として、長野県、群馬県、東京都に事務所を構え、2021年現在で30名の弁護士が所属する弁護士法人です。
事務所としては、一般民事を中心にさまざまなリーガルサービスをご提供しておりますが、5年ほど前に東京で事務所を開設する際、競争が激しい都市部では法律事務所として特徴や分野特化が必要だと考えまして、さまざまな施策を実践した結果、東京事務所は「不動産業界の企業法務支援」を得意とするようになり、現在に至ります。
東京事務所は私を含め、3名の弁護士が所属し、不動産業界を主な顧客とした企業法務支援を行っております。
また、私が共同設立した株式会社レアラ(LEALA Inc.)では、法律事務所の業務支援クラウド「LEALA(レアラ)」というサービスを提供しております。
LEALAのきっかけは、4、5年ほど前に海外の法律事務所を視察する機会があり、そこで現地の弁護士が顧客との応対や案件管理にシステムをフル活用しているシーンを見たことでした。
当時の日本の法律事務所は、自分たちも含め、まだまだITを使いこなせていないと実感し、これから迎える弁護士同士の競争時代において、ITを活用して業務を洗練化しないとそもそも生き残れないと考えました。
最初は自社用にSalesforceをベースに開発したのですが、当時のやり方だとライセンス料とインプリだけで初期投資が1,500万くらい必要になり、一定の規模感がある事務所でなければ同じように開発することは現実的な話ではないなと思う一方で、同様な課題に気づいている法律事務所はあるだろうと考え、SaaSとして自分たちで開発・提供する道を選び、現在に至ります。
現在のレビュー体制や、その頻度について、具体的にお教えください。
不動産業界に特化していることもあり、顧問先企業からはやはり売買・賃貸借など不動産関連の契約書に関する相談が多いです。ただ、それだけということはなく、顧問先の企業がなんらかのサービスを受ける際に生じる契約、たとえばシステム開発やサービス利用規約、NDAなどのレビュー依頼ももちろんあります。
すべての契約書をレビューしてほしいという顧問先もあれば、難易度の高そうな一部の契約書だけレビューしてほしいという顧問先もいます。それらを平均すると、だいたい月に20通くらいは契約書をレビューしているのが現状です。
レビュー体制としては、私に依頼される場合は私自身で完結し、若手の弁護士に依頼が入る場合は、提出前に2ndとして私がレビューするようにしています。
OLGA を導入するに至ったきっかけをお教えください。
実はLEALAを立ち上げたときと考え方は変わっておらず、弁護士の業務をテクノロジーで洗練させていく必要がある、それは業務管理だけでなく、契約書レビューも同じだと考えており、弁護士界隈で契約書レビューが話題にあがった時期に、いくつかのサービスを見ていました。
その中で、OLGA は価格の妥当性があるな、と考え、実際に試してみて、これでやりたいことができると感じ、決めた次第です。
OLGA をお使いいただいたご感想をお教えください。
企業法務に携わっている東京事務所の弁護士は全員使えるようにしており、レビュー依頼を受けた際、契約書は OLGA を通すフローにしています。
そのなかで、契約書との距離感に応じて、2通りの使い方をしていると思います。
1つは、普段からレビューしている不動産系の契約書で、OLGA は「ダブルチェックの代わり」に使う事が多いです。一般条項の抜け漏れがないか、リスクになりうる条文はどれか、というリスク検知機能を主に使っています。
もう1通りは、普段の取り扱いが少ない契約書で、リスク検知以外にも OLGAが提示する観点をきちんと参照するという、契約書の内容理解としても使っています。
実際に OLGA を使ってみると、顧問先に指摘「しうる」点に抜け漏れがないかをチェックでき、顧問先に応じて取捨選択すれば良いだけ、という状態がすぐに作れるので、便利ですね。
人間がすべて同じようにチェックしようとしても、体調や気分によって結果が不安定になってしまうという可能性をなくすことはできないので、そこをテクノロジーが補う、という関係はとてもしっくりきます。
また、私自身は、自分のレビュー結果後に OLGA でも見る、というダブルチェック目的で使っていますが、若手の弁護士が1stレビューした結果を私が2ndで見る際、条文の修正変更案は OLGA が提示する条文をそのまま転記しているケースもあるようで、時間短縮に役立っているようです。
導入効果をお教えください。
これまでは、普段なれている契約書のレビューでも、契約書の内容によってはリスクの指摘漏れがないように、たとえば一度みた後に少し時間を置いて再度チェックをするようにしていました。
OLGA を使い出して、そのダブルチェックは不要になりました。私以外にもうひとり、レビュー担当者が増えたようなものですね。
その結果、顧客へのレビュー結果を返すまでの時間として、30%くらいは圧縮できているのではないでしょうか。1通の契約書レビューにおいて仮に正味2時間かかっていたとして、2h×20通=40hの30%ですから、12時間。3.5万の弁護士報酬だとしたら、大きなコスト削減効果ですね。
あとは体感ですが、若手の弁護士が1stをやった契約書を私が2ndする際、OLGA を通っているのでリスクの観点漏れはないだろうな、と、不安感はだいぶ減りました。
OLGA への期待やご要望、改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
最近、阿部・井窪・片山法律事務所さんの契約書ひな型が追加されましたよね、いままでも契約書レビューによく利用していたので、これは大きいです。今後も良著と評判の契約書本から契約書ひな型が追加されることを期待しています。
また、条文レビュー時に推奨条文が出てきますが、他の候補のバリエーションが今よりもっと選択しやすくなると、より使い勝手が上がるかなと思います。あとは、推奨条文や解説に、根拠となる情報出典元や参考情報が OLGA 内で直接見られたりすると、さらに便利に活用できるのではないでしょうか。
事例を読まれている先生に向けて一言お願いいたします。
新しいテクノロジーはやはり自分で使ってみないと評価できないと思います。契約書レビューの業務フローに乗るか、それは自分たちにとって有用かどうか、OLGA は使い始めやすい価格体系なので、気軽に使いだしてみてはいかがでしょうか。